『巻き狩り、単独猟、忍び猟ってなに?』
【第22回】都内の美人営業マンが会社を辞めて茨城の奥地で狩女子になった件
■単独猟・忍び猟について
巻狩りなどのグループ猟と違い、一人もしくは数人でする猟もあり、単独猟や忍び猟と呼ばれます。狩猟のスタイルはグループ猟以上に様々で、銃や装備、獲物の探し方や追い方など、人によって全く違う方法で猟をしています。足跡や痕跡の見切り、獲物の追跡技術、見つけた獲物を仕留める腕、そして仕留めた獲物を担いで帰ってくる体力と、全てがこなせなければ出来ず、こちらも難易度の高い猟です。
●犬ありスタイル、犬なしスタイル
単独猟でも巻狩りと同じ様に猟犬を用いる場合があります。ただし巻狩りと違ってマチはいませんので、延々と遠くまで獲物を追い立ててしまっては人間が追いつくことは出来ません。猟犬を獲物の捜索のみに使う方法や、複数の猟犬で獲物を取り囲み動きを止めてその間に仕留める方法等、さまざまなスタイルがあります。また、鳥猟や小型獣の狩猟では、仕留めた獲物を猟犬に回収させる場合もあります。
●獲った獲物はどうするの? その場で捌く? 持って帰る?
鳥獣保護法では、仕留めた獲物を放置することを原則禁止しています。となると大変なのは獲物の引き出しですね……。引き出しは本当に大変で、私の体力不足は否めないのですが、以前100キロほどのイノシシを3人で引き出した時は、自分の手足がもげて、腰が砕けて、内臓が口から出ちゃうかと思いました……。人手があるグループ猟なら協力して引き出せますが、単独猟なら頼れるのは自分だけ。鴨やうさぎならまだしも、80kg~の鹿や猪なんて獲れてしまったら大変です。でも、そこはみなさん工夫されているようで、現場である程度解体して持って帰ったり、滑車やロープを使って引き出したり、なんと車に電動のウインチを取り付けている人までいます。ただし、どんな手段を取るにせよ、「引き出せない所までは追わない」というのが重要なようです!
●単独猟・忍び猟必須アイテム等
持っていきたい物は山程あるけれど、それを担いで山を歩く以上、どうしても取捨選択を迫られるのが単独猟です。現地で解体される方でしたら、解体用のナイフや吊るす用のロープ、フック、持ち帰り用のビニール袋や解体残滓(ざんし)を埋設するためのスコップも必要になります。1日かけて山の奥まで入っていくなら地図やハンディGPSが必要になりますし、緊急時の非常食や救急セットもあると安心出来ます。積雪の多い地域では靴に取り付けるアイゼンやチェーンスパイクなどの雪山用装備も必要になります。自分のスタイルや猟場の特性、そして何より体力と相談してアイテムを選択しましょう。
逆に鳥猟等で「待ち伏せ猟」をする場合は、長時間同じ場所で待つ上に獲物が来なければやることが無いので、カモフラージュ用のテントやタープを貼り、イスやテーブルに携帯型のコンロまで持ち込んで、お茶を飲みつつ優雅に狩猟をされる方もいるようです!
●メリット、デメリット
単独猟で特に気をつけなければいけないのが、遭難や怪我等の「事故のリスク」ですよね……。だってひとりですもんね。緊急時に携帯電話で助けを呼ぼうにも、電波の通じない谷間に滑落するかもしれません。山岳での遭難者は年間3千人ほどおり、その1割以上が死亡・行方不明となっています。ほとんどが比較的救助の準備のある登山やスキー等での遭難ですが、この死亡率です。登山道も無い様な山の奥での遭難なら、その確率は推して知るべし、と言ったところでしょうか。単独猟を行う場合は「ここで怪我をしたらどうなるか」を常に頭の片隅に置いておく必要があるでしょう。
■終わりに。狩猟スタイルは貴方次第。事故やけがに気を付けて素敵な狩猟ライフを
いかがでしたでしょうか。今回は狩猟のスタイル、特に巻き狩りや単独猟について綴らせて頂きました。まだ銃を持っていない私にとって未知の世界であり、憧れの世界です! 次回は、今話題のワークマンのオススメ商品について綴らせて頂こうと思います。この連載を通して私の、私たちの想いが、少しでも誰かに繋がり、そして何かのお役に立てれば幸いです。
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